こんにちは。
マイクを使う機会はライブとレコーディングがありますが、基本的には一緒です。
せっかく良い声で良い歌をうたっても、マイクにきちんと仕事をさせなければ、聴いている人には伝わりませんよね。
生声を聴かせる場合以外は必ずマイクを通して歌を聴かせるわけですから、使い方をしっかりマスターしておきたいものです。
まず基本的な考え方としては、自分の生声をできるだけ忠実に聴かせるということです。
マイクには指向性というものがあります。指向性とはマイクが音を拾うことのできる範囲のことです。
例えば、会議を録音するためのマイクなら360度の範囲をまんべんなく録音できないと意味がありませんよね(無指向性マイクといいます)。
歌で使うマイクの場合は、単一指向性といって、特定の範囲しか拾ってくれないようになっています。一番しっかり拾ってくれるのは、正面です。横からでも拾ってはくれますが、音が変わってしまいます。
歌うときにはマイクの正面(真上)で声を出さないと正しい声は拾われないのです。マイクを使うときは、常にマイクの真上に声を当てるようにするのが基本なのです。
次にマイクとの距離ですが、これは個人の声量・歌い方によるので決まりはありませんが、大体の目安はあります。
マイクは声という空気の振動を電気信号に変えてくれる機器です。空気振動を正確に伝えるには、なるべく近くで音を出す必要があります。
間に空間があると、音は変わってしまいます。1cm変わっただけでも音は変わるのです。
ですから、基本はできるだけ口をマイクに近づけることです。
しかし、ここで問題が発声します。それは、歌は常に一定の音量で歌うわけではないからです。
Aメロとサビでは当然音量が違います。Aメロでマイクにピッタリくっつけて歌って、そのままサビを歌ったら、音量が大きすぎてPAのメーターが振り切ってしまいます。あらかじめ歌の音量をサビのピークに合わせておくなど、事前リハーサルでチェックはしますが、サビで少しマイクから離すなどの調整は必要になります。この辺のサジ加減は経験による慣れですね。
それから息でマイクを吹いてしまうこともあります。パピプペポの発音で多いのですが、近い距離で息を吹きかけると「ボッ!」という嫌な音がします。これをポップノイズと言いますが、歌の最中に「ボッ!ボッ!」と言わせていたら聴いている人もあまり気持ちよくありませんからね。マイクを吹くクセのある人は少し離して歌う必要があります。レコーディングでは、吹かれを防止するためにマイクと口の間にストッキングを巻いた輪(ウィンドスクリーンとかポップガードといいます)を置いたりします。
またアマチュアでよく見かけるのが、手でマイクを覆って歌う人です。これもよくありません。先に述べたようにマイクは声という空気振動を信号に変えるわけですから、手で声をさえぎっては正確な声は伝わりません。マイクを持つときは必ずボディの部分を持つようにしましょう。
ライブにしてもレコーディングにしても、聴く人はマイクを通した声を聴くしかありません。
マイクに歌を詰め込むつもりで魂を込めて歌えばきっと伝わるはずですよ!
余談ですが、レコーディングで楽器を録音するときなど、わざとマイクを離して(オフマイクといいます)録音することがあります。本来は楽器にマイクをピッタリくっつけたほう(オンマイクといいます)が原音に忠実に録音できますが、ライブ感を出すためにわざと間に空間を入れるのです。実際に人が楽器の音を聴くときには、楽器と聴く人の間には距離があります。当然、楽器が発している音と聴いている音は距離のぶんだけ変化しています。その変化を再現するためにマイクを離して録音したりするのです。(実際にはオンマイクとオフマイクの両方を録音して、後でミックスしたり色々なテクニックがあります。)
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