こんにちは。
コーラスのハーモニーがばっちり決まるととても気持ちがいいですよね。複数の人間の声が重なったときのパワーは素晴らしいものがあります。1+1が3にも4にもなります。
ハーモニーをキレイに決めることはかなり難しいことです。
理由は2つあります。
一つ目は、正しいハーモニーのラインであるかということです。
コーラスというと、普通は元の曲のメロディーの上や下にコーラスパートをつけていくことが多いと思います。ハーモニーは2つ以上のメロディーを同時に歌ってキレイに響かせることが必要ですが、そのメロディーの作り方には決まりごとがたくさんあるのです。
コーラスパートを作るとき、なんとなく作っていては、なんとなく合っているハーモニーにしかなりません。フィーリングだけで作っていると細かいところで合わない部分が出てくることがあります。
コーラスパートを正確に作るにはある程度の音楽理論や和声の知識が必要です。
2つ以上の音が同時になっているということは、そこに「和音」が存在するということになります。和音とはコードとも言いますが、2つ以上の音の関係を表したものです。例えば、<ド>と<ミ>という音が鳴っていたら、その2つの音は「長3度」という関係にあります。<ド>と<ミ>と<ソ>が鳴っていれば、<ド>から見て「長3度」「完全5度」という関係になり、コード名は「Cのメジャートライアド(長3和音)」になります。
この中の音の一つでも変わってしまえば、コード名も変わります。<ド>と<ミ♭>と<ソ>だったら「Cのマイナートライアド(短3和音)」となり、まったく異なる響きになります。
メロディーラインは動いていますから、音が変わるごとに、その時に鳴っている和音(コード)は変化することになるわけで、そのすべてがきちんと和声的・理論的に正しい音になっていないといけないわけです。
例えば童謡のようなシンプルなメロディーであれば、比較的簡単にコーラスパートを作ることができるかもしれません。しかしポップスなどの複雑な曲ではそうはいきません。
メロディーやコード進行が複雑になれば、それにつけるコーラスパートも複雑になり、フィーリングだけでは手に負えなくなるでしょう。シンプルそうに聴こえる曲でも実は複雑な構造になっている曲もたくさんありますから注意が必要です。
正しいコーラスパートを作るには、音と音の関係、コード、スケールなどを熟知していないといけないのです。優れたアカペラグループを聴いてみると、音楽理論を駆使して非常に緻密に作り上げています。そこまでやってはじめて美しいコーラスになるのです。
もう一つは、元のメロディーとコーラスパートを正しく歌えているかということです。
いくら完璧に美しいコーラスアレンジをしても、それを実際に歌えなければ意味がありません。1人で歌っているときには気にならなかった音程のズレもコーラスになると不協和音の気持ち悪い響きになってしまいます。コーラスをやるには、音程を正しく歌える能力がより要求されるのです。
そしてそれぞれのメンバーの歌い回しがぴったり合っていないといけません。1人なら、毎回歌い回しが変わっても問題ありませんが、コーラスでそれぞれが気分で歌い回しを変えていてはキレイな響きには決してなりません。それぞれが歌い回しをしっかり決めて、それを常に再現できないといけないのです。
リズムの取り方やブレス、抑揚なども揃えないといけません。さらに、低域、中域、高域では役割が異なりますから、それをしっかり理解することも大事です。例えば、高域であれば多少音がずれてもごまかせることがありますが、低域は和音の基本になりますから、音を外すと全体の響きに大きな影響が出ます。
以上の2つが噛み合って初めて、キレイなコーラスになるのです。
そのことを踏まえて練習や勉強に取り組んでください。
どんな作り方をしようが、最終的には聴いていて気持ち良ければ問題ないわけで、音楽理論を駆使したからといって良いコーラスになるとは限りません。要は作る人の感性に左右されるわけですが、理論的な知識があれば、迷ったときのガイドラインになりますし、色々なパターンを知っていれば、容易に短時間で作ることもできるようになります。
コーラスを専門の仕事にしている人もいるくらいですから、とても奥が深いものです。でもコーラスをきっかけにして音楽をより深く勉強できればいいですね。
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