プロがボーカルの悩みを解決します
Q32:はじめまして!僕はバンドをやっています。ラルクの曲を中心にやっています。そこで質問なのですが、バンドの練習をいつも録音しているんですが自分の声が引っ込んでいるみたいな感じなのが悩みです。練習スタジオではCDみたいに録音はできないのでしょうか!?(大学生・男・21)

こんにちは。
「CDみたいに録音」ですが、練習スタジオでの一発録り(スタジオについているマイクでそのままMDなどに録音すること)ではCDみたいに録音するのは難しいですね。

売られているCDは、 レコーディングスタジオで丁寧に録音されたものです。ドラムにはマイクを十本以上立てたりします。それらを全部別々のトラックに録音して、最後に調整(ミックスダウン)をしているのです。使っている機材も違います。マイクもその楽器に合わせたものを使いますし、録音するレコーダーも音が良いものです。

なので、練習スタジオでの録音でCDクオリティを求めるのはやめましょう!(笑)

そもそもリハーサルの録音は演奏をチェックするためのものですから、音質を気にする必要はありませんよ。内容が大事です!

次に「自分の声が引っ込んでいる」ことについては、大きく二つの原因があると思われます。
一つは、バンド全体の音量が大きすぎることです。

アマチュアバンドの多くに見られることですが、メンバーそれぞれが自分の音を聴こうと音量を大きくしがちです。ドラムの音量は変えられませんから、ドラムに負けないようにギター、ベースの音量を大きくしてしまうと、狭いスタジオの中は飽和状態になってしまいます。

練習スタジオで音量バランスを取るコツをいくつかご紹介します。

1.まずスピーカーの位置です。
普通アマチュア用の練習スタジオだと2台のスピーカーがあると思いますが、1台はボーカルの正面にします。このときボーカルの後ろ側にはしないように。スピーカーから出た音がマイクに回り込んでハウリングの原因になります。

もう一台はドラマーが一番聴こえやすい位置に移動します。
転がし(足元のスピーカー)が複数ある場合は、メンバーそれぞれの正面に置きます。その他のメンバーはその2台のどちらかから聴こえやすい場所に立ち位置を移動します。

注意するのは、音の反射を計算して、なるべくバンドの音がボーカルマイクに入らないようすることです。

2.次にボーカルだけで歌ってみます。
一番小さい声と大きい声の両方がしっかり聴こえるような音量にセットします。声量や声質により個人差はありますが、耳障りにならないように。

3.次にバンド全体の調整です。
まずはドラムとボーカルだけで演奏します。このとき歌がはっきり聴こえるかどうかチェックです。

そしてベース、ギターの順に音量を合わせます。ベースは低音がしっかり感じられるような音量にしましょう。壁がビリビリ言うようなら大きすぎです。ギターは歌を音域がかぶるので注意が必要です。メンバー全員が歌をしっかり聴こえるように調整してください。

ギターの人は、自分の音が聴こえにくかったら、音量を上げたりせずにアンプの位置で調整しましょう。自分に向けて斜めに傾けるのも方法の一つです。

この状態だと、バンドの音が小さく感じると思います。ドラムばかり聞こえるかもしれません。 それでいいのです。

その音量でもリズムが揃ってくれば、迫力は出ます。迫力がないのは、リズムがバラバラで点で揃っていないからです。

リズムがピタッと揃えば、その瞬間の音の密度が大きくなるので、音量感がアップします。アンプの音量ではなく、アンサンブルで音量を出すように練習に励んでください。プロの演奏に迫力があるのは個々の音量が大きいわけでは決してなく、演奏が揃っているからなんですね。

さて、声が引っ込む理由のもう一つ。

ボーカル自身の発声の問題です。ポイントは声量とマイク抜けです。
ジャンルにもよりますが、ロック系の場合はある程度の声量が必要でしょう。カラオケボックスでは歌えた気になっていても、バンドになると声が前に出てこないという人は、ボイストレーニングをするしかありません。

腹式呼吸による正しい発声と、体全体と使って響かせる共鳴が出来ていないと、バンドの音に負けてしまい、いくら音量を大きくしても引っ込んで聴こえてしまいます。

引っ込んで聴こえるのは、声のバランスが悪いからです。低音〜中音〜高音がまんべんなく出ていないと、こもったり、ぺらぺらになります。
マイクの抜けが良い声を作るには、特に中音域の充実が必要ですよ。

バンドの練習はごまかしが効きません。それだけに自分を知るためにはとても有効です。部屋やカラオケで歌っているだけでは気がつかないことにたくさん気づきます。

録音をした音がバランスよくなるように、自分の歌とバンドアンサンブルの両面から、メンバーと色々研究しましょう! がんばってくださいね!


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