プロがボーカルの悩みを解決します Q73:今高校3年で大学に入学したらバンドを組んで歌いたいと思っています。
中学の頃から合唱をやっているので、音程やリズムをとるのは得意なのですが、歌っているときに息もれと高音を出したときの声の薄さが気になってしまいます。
どの音域でも迫力のある声で歌うにはどうしたらいいでしょうか? (高校3年 ・女・18)

こんにちは。

迫力のある声を作るには、まず声と歌の仕組みを理解する必要があります。
迫力を出すには、声量・声質・歌唱技術を磨いていかなければなりません。

声量UPは声の音量を大きくすることですが、これは呼吸と声帯の使い方、共鳴が重要になります。腹式呼吸でたくさんの息を肺に取り込んで、その空気を短時間で力強く出すことで声帯を大きく震動させ、さらに共鳴(響き)を使って増幅させて大きな声を出すのです。

声量だけではプロのような迫力は出せません。次に声質の改善が必要です。カラオケではパワフルに歌えていたのに、バンドに入ると楽器の音に負けてしまい、声が引っ込んでしまうということがアマチュアの方にはよくあります(バンドに問題がある場合もありますが)。バンドの音に負けない声を出すには、声の音量だけでなく、音色を変えていかなくてはなりません。

声自体がそれほど大きくなくてもマイクの乗りが良い声の人がいます。「通る声」などと言われますが、周波数バランスが良く、マイクで拾いやすい(マイクの特性に合った)声が出せると迫力が出せます。マイクの通りというと高音が強調された声を思い浮かべるかもしれませんが、実際は高音だけでなく、中低音のバランスがよく、特に中音域の成分が多いと抜けの良い声になります。高音だけが強調されるとキンキンした聞き辛い声になってしまいます。

自分の声を抜けの良い周波数バランスにするには、体を効率よく響かせることが必要です。お風呂場やトンネルで声が響くように体の中で響かせて音を増幅させるのです。良い声質に重要な中音域は主に鼻の奥の空間を響かせることで作ります。

どれが欠けてもプロのような迫力のある声は出せません。これらは日常生活ではあまり使わない筋肉を使いますので、正しい訓練をしていくしかありません。

ご質問の息漏れですが、実際の声を聴いていないので一般論になりますが、声帯の閉鎖力が弱いことが原因であることが多いです。地声は声帯をぴったり密着させることで出しますが、息の量が多すぎたり、限界に近い高音を出すときに支えきれずに声帯が開いてしまい、息が漏れたり裏返ったりします。直すには、正しいトレーニングを積んで声帯の筋肉を鍛えるか、自分の筋力を超えない範囲の曲や歌唱法を選ぶしかありません。何もせずにプロと同じように歌うことは難しいでしょう。

高音時の声が薄くなる(細くなる)のは、声帯の筋力と発声に問題があるのだと思われます。高音は声帯を高速震動させますが、トレーニングをしていないアマチュアは、その震動に声帯を支える筋力が追いつかず、喉に力を入れて支えようとします。その結果、喉の空間が狭くなるので、響きが悪くなり声が細く苦しそうになります。力んでいるので声帯もコントロールしにくくなりピッチも悪くなります。

バンドの音に負けない声は、声の仕組みを理解して正しい練習をすれば誰でも出せるようになりますよ!がんばってくださいね。

>> 自宅でプロのボーカルレッスン-トップページへ

プロアーティストコース ベーシックコース 無料体験