こんにちは。
まず、レコーディングについての基本的な考え方についてお話します。
CD化(誰かに聴いて楽しんでもらうことが目的)のためのレコーディングという前提ですが、「どこを持って完成とするか」が一番難しかったりします。
特に自分一人だったり、バンドメンバーだけだと、客観的な判断が難しいものです。プロの世界では、
そのためにわざわざプロデューサー(ディレクター含む)を呼ぶことも多いのですが、アマチュアの方の場合は、的確な判断のできる第3者を呼ぶことは難しいでしょうから、その場合自分で決定をしていかなければなりません。
自分で決定する場合、判断基準となるのが「センス」ですが、これがなかなか曖昧なもので、例えばバンドの場合は、センスの違いで揉めたりします。したがって、レコーディングをする際には、予め最終決定をする人間を決めておくことがベターです。話合うことももちろん大事ですが、誰かに決定権を与え、最終的にその人の決定には必ず従うというルールを作っておくこととスムーズに進むでしょう。
もう一つの問題は、技量です。最終的なイメージをプロのCDのようにしたいと考える方が多いですが、技術が未熟であると、どんなに優れた機材を使っても、プロのようなサウンドには決して仕上がりません。自分で決定する場合には、自分の力量も把握しておく必要があるわけです。そうでないと、「こんなはずはない」と、いつまでたっても作業が進まないということになりかねません。
前置きが長くなりましたが、一つ目のご質問の、ボーカルのミスや未熟さがミックスで隠せるかどうかですが、結論から言うとNOです。
アマチュアの作品でよく見かける例ですが、ボーカルの未熟さを隠すために、リバーブ(エコー)などのエフェクターを掛けまくったり、極端にボリュームを絞る人がいます。これは、本人はごまかしているつもりでも、かえって未熟さが際立ってしまっている悪い例です。
ミックスダウンは、素材を掛け合わせてバランスを取る作業で、ミスを隠す作業ではないと考えて下さい。適切にバランスを取ればオケとキレイになじみますが、それとミスを隠すことは別問題です。ピッチやリズムのずれ、発声の悪さ、声の細さなどは、どうやっても隠すことはできません。(編集で修正すれば別ですが、本末転倒です)
二つ目の、録り直したほうが良いかですが、これはYESであり、NOでもあります。音源を聴いていないので具体的なアドバイスはできませんが、一般的には、録り直して良くなることは少ないと考えてもらっていいと思います。
アマチュアの方の「録り直したい」というのは、技術の未熟さが原因のことがほとんどです。プロの場合は、技術よりも「表現の仕方やサウンドがイマイチだった」という場合が多いです。技術が伴っていなければ、何度やり直しても良くなることはありません。むしろ、気持ちの上で切羽詰まってくると、良い表現をしようとする意識が薄れ、「つまらない歌」になってしまうということになりかねません。実際、客観的に聴くと、1テイク目が一番良かったということも多いものです。
録音したものは、現在の姿そのものです。それ以上でも以下でもありません。それを受け入れ、反省点を次に生かし、さらに練習を詰むことが一番大切なことだと思います。100%納得の行くものは出来ないと考えておくと気が楽になります。むしろ納得できない部分があるからこそ成長するのですし、耳が良くなって音楽を深く聴けるようになれば、自分の中の合格ラインが上がり、それが音楽力のアップ、作品のクオリティーアップに繋がります。
がんばってくださいね!
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