こんにちは。
録音機器の入力レベルに対して、許容量を超える音(大きすぎる音)が入ってくると「音割れ(歪み)」を起こします。歌というのはダイナミックレンジ(音量差)が大変広く、小さい音から大きな音まで様々な音量を使って表現をしますから、入力レベルをどの音量に合わせるかということが大事になってきます。特に、Aメロでささやくように歌って、大サビでシャウトするような場合は、音量差はかなり大きくなり、一つの入力レベルでは対応できません。
そこで入力レベルを歌唱中に変更する必要が出てくるわけですが、その中の一つがマイキングです。マイクは口との距離で音量を調節できますから、弱く歌うときには近く、大きい声を出したり、シャウトするときには離すようにすることで、ある程度調節が可能です。ご質問の、歌っている最中にマイク位置を大幅に変えても大丈夫かということですが、むしろ基本的には(音量差のある歌唱の場合)、マイクの距離を動かすことでレベル調整を行うべきだと思います。上手なシンガーはこのマイキングが大変上手です。機材の性能がそれほど良くなかった昔のシンガーは特に上手いですね。コンサート映像などを見て研究してみると良いでしょう。
ただし、マイクとの距離が変わると、若干音色(声色)が変わってしまいます。集音できる周波数成分が変わってしまうためです。ですから、どのくらい離すと、どのくらい音が変わるかということを知っておく必要があります。
実際のレコーディング現場では、サウンドチェック(リハーサル)で、どのくらいのダイナミックレンジがあるかを調べ、エンジニアさんが入念に入力レベルを調整します。どうしてもレベルを超えてしまう場合は、リミッターなどのエフェクター(過入力が入ると自動的に音量を抑える機器)を使って、突発的なオーバーロードを防ぎます。せっかく最高の歌唱が出来ても、音が割れてしまっては元も子もないですからね。
自宅録音の場合も、歌うときにリミッターをかけておくと万が一の音割れを防げます。ただし、これも音が変わってしまいますから、かけ過ぎに注意。どうしてもという音量だけがひっかかるように設定しましょう。
がんばってくださいね!
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