プロがボーカルの悩みを解決します Q80:声のことで質問できる場所を探していたら偶然このサイトを見つけましたので質問させていただきます。
いきなりですが中音域が出ません。出ないというよりカラオケで出ないのです。
友達と行くと出ずに裏声でずっと歌って声が枯れてしまいます。
いざ出そうとすると無意識でやってるのか中音域の声の出し方がわからないみたいになってしまいます。
そこで合唱をやってる友達に聞いたところ、音程は取れてるから後は自信をもって歌えばいいんじゃない?と言われたのですが・・・そう言われても出ないものは出ないのです
自分の部屋では確かに友達にも出てるねと言われたのですが・・・

これって人前だから緊張してるのとほんとに自信をもって歌ってないからなのでしょうか?もしよければ回答お願いします。では失礼します(大学生・男・19)

こんにちは。
部屋で1人で歌っている時は出せるのに、カラオケに行くと出なくなってしまう・・・練習では出来ていたのに、本番で出来ないと、とても悔しいですよね。

まず、裏声になってしまうということは、声帯がきちんと閉鎖されていないことが原因です。地声は声帯の「声門」という部分をピッタリ閉じることで出せますが、何らかの理由で、声門が開いてしまっているために、裏声になってしまっているのだと思います。(ちなみに裏声は声門が完全に開いているのではなく、一部は閉じている状態です)

そして声が枯れてしまうということは、喉に力が入っているのが原因だと思います。喉に力が入ると、声帯の粘膜がこすれて炎症を起こしてしまったり、無駄な力を使い続けているためにすぐに疲れてしまいます。そうすると、声門をピッタリ閉じることができなくなり、息漏れを起こす、すなわち枯れて(掠れて)しまうのです。

喉に力が入ってしまう原因は二つ考えられます。一つは、歌に必要な腹式呼吸が出来ていないことです。腹式呼吸は、横隔膜で息を吸ったり吐いたりする呼吸法ですが、強くて安定した息が楽に出せるので、無理に喉を使う必要がなく、常に喉をリラックスさせたまま歌えます。(これがお腹から声を出すということです)

逆に肋骨を使った胸式呼吸(普段の呼吸)だと、強い息を出したり、長く持続させたり、安定させるために、どうしても喉を使ってしまうのです。喉を使ってしまうと、気持ちとは反対に、弱くて細くてフラフラした声しか出せません。

そしてもう一つは緊張です。緊張をするとどうしても体に力が入ります。特に、歌に最も悪影響のある「上半身」の力みを起こしやすいです。上半身が力むと、喉の力みの大きな原因になりますし、お腹に力が入れにくくなり、横隔膜を使えなくなるので、強い声や安定した声が出せなくなります。それを喉で補おうと、さらに喉に力が入ってしまう悪循環に陥ります。

本番では、誰でも緊張します(カラオケも人前で歌うという意味で本番です)。これは音楽に限らず、スポーツでも芝居でも何でも同じです。プロでも緊張はします。ただプロとアマチュアの大きな違いは、緊張しても一定のクオリティを保てる技術があることです。アマチュアは練習不足なことが多いので、特に緊張による落差が大きくなります。

緊張の原因は色々あると思いますが、「失敗したらどうしよう・・・」という不安や心配のが大きいのではないでしょうか。よく「自信を持って!」などと言われますが、そう簡単に自信を持って歌えたら苦労しませんよね^^;

自信をつけるには、残念ながら、練習するしかありません。練習量は自信量に比例します。特に歌は、普段使わない筋肉を使う(正しい発声が出来ている場合)ので、練習しなければ、絶対に上手く歌えません。「練習をたっぷりやった!」という心の余裕が自信に繋がるのです。

最後に、これはライブなどでも言えることですが、本番のコツは、「上手く歌おう」と決して思わないことです。上手く歌おうとするのは、「練習でやること」です。練習では、いかに上手く歌えるかを研究して下さい。そして上手く歌えたら、それを考えなくても出来るように繰り返して、体に覚えこませて下さい。(歌詞を覚えてしまうくらい歌い込みましょう。)

そして本番はとにかく楽しむ!(お金を取っているライブなら、プラスお客さんを楽しませる!)。そうすれば、自然と自信がついて、緊張せずに歌えるようになるはずですよ。がんばってくださいね。


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