こんにちは、ご質問ありがとうございます。
まず弾き語りをやってらしたということなので、ある程度の歌の基礎が出来ているとしますと、バンドの中で歌ったときに声が通らなくなるのには、いくつか原因があると思われます。実際の歌を聴いていないので想像になりますが、当てはまる部分がないかどうか参考にしてみて下さい。
まずバンドの音量です。アマチュア、特に初心者バンドの場合、練習時の音量が大きすぎることが多いと思います。プロの場合、アマチュアの方が想像するよりもずっと小さい音量でリハーサルなどをやります。バンドの音量が大きいと、どうがんばっても歌は聞こえなくなります。マイクの音量を上げるという手もありますが、部屋の中が音の飽和状態になっていれば、いくら上げても聞こえませんし、その前にハウリング(キーンという音)を起こすでしょう。
アマチュアの方が音量を上げすぎてしまう原因としては
@自分の音が聞こえないと不安なので、ついアンプの音量を上げてしまう。
A音量調節のできないドラムに合わせてしまう。
Bライブやコンサートの音量イメージをそのまま狭い部屋でやろうとしている。
などが考えられるでしょうか。
まず@ですが、一人で練習している時に自分の音ばかり聴いていると、いざバンドでやるときに、同じように聞こえないと不安になります。特にバンド練習で立って演奏する場合、アンプの位置が低くなり余計に聞こえにくくなります。その場合、アンプの角度を変えたり(壁に立てかけて斜めにする)、高い場所にアンプを置くなどして、演奏者の正面にスピーカーが向くようにすると音量を上げなくてもよく聞こえるようになります。ギターやベースの人にお願いしてみましょう。
Aもアマチュアがよく犯す間違いです。音量を調整するコツは、とにかくボーカルを中心に考えることです。マイクの音量を決めたら、ドラムと二人で合わせます。この時もボーカルがはっきり聞こえるかをチェック。そしてベースはバスドラムの音量とバランスを取ると良いですね。
ベースは歌とは音域がそれほどかぶらないので、ある程度音量を出しても問題ないですが、ギターやキーボードは、歌と周波数域が似ています。音がぶつかると当然聞こえにくくなりますので、最初は小さめから始めて、ボーカルをジャマしない音量まで少しずつ上げていくと良いでしょう。あまり上げられずに演奏者が聞きにくい場合は、上の方法でアンプの位置を調整します。
そして全体の音量にも注意。出せる音量は部屋の広さで変わります。音が回って飽和状態にならない程度に抑えてください。ボーカルがはっきり聞こえるかどうかが一つの目安です。
Bもよくある初心者の間違いです。プロのライブに行くとその迫力に驚くと思いますが、あれはホールの広さに合わせてPAで音を大きくしているだけで、お客さんが聞いている音(出音)とステージ上の音(中音)はまったく別の音量です。実際のステージ上の音(生の音)は、驚くほど音量が小さいです。なぜかというと皆の音がバランスよく聞こえることが一番大事だからです。(実際のライブの場合は、演奏者個人個人にモニタースピーカーがあるので、それで「自分はもうちょっとベースを大きくしよう」など、ミキサーさんと相談して微調整しています。いちいちアンプの音量を上げたりはしません)。
それから、アマチュアの場合、演奏技術が高くないのでどうしても迫力が出ません。迫力を出すために音量を上げてしまう→モニターが悪くなって余計に演奏が悪くなるという悪循環に陥ります。プロの演奏に迫力があるのは、演奏が「点」で揃っているからです。個々の音量が大きくなくても、一点に音が集中することで瞬間的な音の密度が上がり(=音圧が上がる)、結果として迫力が出るのです。練習をたくさんして、皆の演奏を「点」で合わせられるようにがんばって下さい。
そしてもう一つの原因は発声です。いくらバンドの音量を下げても、マイクの音量を上げても、発声が出来ていないと、聞こえにくくなります。マイクを通した時によく聞こえる声、いわゆる「マイク乗りの良い声」を出すには、声の周波数バランス(声質)が重要です。声がコモっていては、いくら声を張り上げても聞こえにくさは変わりません。
特に高音域成分だけではなく、中音域成分がよく出ている声はマイクの抜けが良くなります。中音域を出すには、声を上手く響かせる必要があります(共鳴といいます)。上手く響かせるには、喉で搾り出すような発声はNGです。腹式呼吸で強い息を使えないと、共鳴はできません。声自体が通るようになれば、無理に叫ばなくても、Aメロなど抑えて歌う部分もサビで声量を出す部分もキレイに聞こえ、強弱の表現が出来るようになりますよ。
またマイクの使い方も大事。マイクには指向性というものがあり、口に対して正しい位置にセットしないと本来の声を拾ってくれません。マイクを口の正面にしっかり向け、あまり離さないようにするのがコツです。
最後に、楽しんで思いっきり歌うことです。失敗を心配したり、緊張したり、自信なさげに歌ってしまうと、通る声も通りません。下を向いて歌うのもNG!東京ドームのステージにいるつもりで、バックスタンド最上部のお客さんに歌を伝える気持ちで、思いっきり歌ってください。
以上、参考にしていただけたら嬉しいです。練習がんばってくださいね!
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