プロがボーカルの悩みを解決します Q82:3つ質問します。大変読みづらいかもしれないのですが、自分なりに詳しく書きました。もし返事をしてもらえるのなら、大変助かります。

@お腹の筋肉が硬くて、思ったような声が出なくなるときがきます。高い声が出なくなったり、声量がかなり落ちます。どうやったら、お腹の筋肉を柔らかく使えるようになりますか。

Aもうひとつは、直立姿勢で歌う時、なかなかお腹に空気を含ませることができず、深い声で歌うことができず、浅い声になり、のどに負担がきます。どうしたら、この状態を解決できますか。

B最後の質問で、歌いはじめてから、大体2時間ほど歌ってからでないと、自分の一番絶好調な声が出ません。ものすごいスロースターターのように感じます。アップもやってるのですが、少し足りないのかなと、自分では感じるのですが、大体アップの目安時間はどのくらいがベストなのでしょうか。 (大学生・男・21)

こんにちは、ご質問ありがとうございます。

まず最初の質問ですが、歌に限らずスポーツでも同じですが、筋肉は柔らかく使うことで最も効率よく能力を発揮します。お腹の筋肉が硬いとのことですが、腹式呼吸が正しく使える場合には、横隔膜をコントロールするためには、腹筋や背筋は柔らかく使ったほうが上手く歌えます。

息をたくさん取り入れるためには、横隔膜を押し下げて肺を広げなくてはなりません。そして吸い込んだ息を一定量ずつ出すには横隔膜を支えてあげなければなりません。息の量が少なかったり、支えが弱かったりすると、声量が出せなかったり、声が不自然に震えてしまったりします。

これらの動きは腹筋と関連していますから、必要以上に力んでいると正しくコントロールすることは出来なくなるのです。喉と違って、お腹の筋肉はある程度使う必要があります。ただしやみくもに腹筋に力を入れても、横隔膜と連動していないと意味がありません。

どの程度の力が必要かは、その人の腹式呼吸のマスター度や筋力によって異なりますので、一概には言えませんが、横隔膜を十分にコントロールできる最小限の力を使えれば、歌には問題ないでしょう。お腹に力を込めるのではなく、「横隔膜を動かす」というイメージでやられてみてはいかがでしょうか。

2番目のご質問ですが、座っていると上手く歌えても、直立姿勢だとお腹に思うように力が入らないという方は、よくいらっしゃいます。これは普段から正しい姿勢で練習をしていないことが大きな原因です。

息が浅くなるということは、横隔膜の押し下げが出来ていないということです。胸式呼吸になってしまっているわけですね。そうすると強い息は使えませんから、喉に力を入れて補おうとします。その結果、喉がすぐに疲れたり、炎症を起こして痛くなってしまうのです。

姿勢は大変重要です。歌でもスポーツでも、正しいフォームには、最も効率よく筋肉を使えるという明確な理由があります。日頃から正しい直立姿勢で練習されることを強くお勧めします。

3番目のご質問ですが、朝起きてすぐというのは、誰でも筋肉を正しく動かせません。個人差はありますが、最低でも2〜3時間は経たないとベストの動きは出来ないでしょう。これはプロでも変わりません。プロは自分のベストのウォーミングアップを知っています。特に歌の場合は、一日の中でベストの発声が出来る時間帯や回数は限られています。したがって本番の時間から逆算して、起床時間やウォームアップ時間を決めています。

2時間は決してスロースターターではないと思いますよ。起きてから1時間でベスト状態になろうが、4時間かかろうが、大した問題ではありません。大事なことは、自分がベストの状態なるのまでに「どのくらいの時間とウォームアップが必要か」を、きちんと把握できているかどうかです。

以上、参考にしていただけたら嬉しいです。練習がんばってくださいね!


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