プロがボーカルの悩みを解決します Q83:EXILE ATSUHIのような歌い方にあこがれています。 あのかすれたような歌い方は、息を漏らしながら歌っているのでしょうか?

歌っている時腹から声が出ている感覚がつかめません。 キーが高いと特にです。 何かコツはありますか? 高い声を出そうとすると、どうしても喉と、アゴに力が入ってしまいます。いい練習法はありますか?

長文失礼いたしました。 お願いします。 (大学生・男・21)

こんにちは、ご質問ありがとうございます。

まず、かすれたような歌い方ですが、これには大きく分けて2種類あります。1つ目は、いわゆる裏声での歌唱です。通常の地声は、声帯をぴったりくっつけた状態で、そこに息を通すことで出します。これに対して裏声は、声帯を完全に密着させずに息を通す発声です。息が漏れる声なのでかすれるように聴こえるのですね。

裏声は、高い音を楽に出すために使うことの多いテクニックですが、低い音で使うことも有効です。セクシーな声になるので、R&B系のシンガーは好んで使います。

ここで注意が必要なのは、ただ単に裏声で歌ってもプロのような声にはならないと言う事です。アマチュアの方の裏声の多くは、弱弱しくて芯がない裏声です。これは、腹式呼吸による息のコントロールが出来ていない状態で、声を出してしまっているからです。

地声の場合は、喉に力を入れて、パワフルに聴こえる声を出すことは可能です(実際は聴きづらい声ですが)。しかし裏声だと、喉に力を入れにくいので、息が弱かったり不安定だと、そのまま弱弱しい声になってしまうのです。したがって、プロのように太くて芯のある裏声を出すには、横隔膜を使った腹式呼吸をマスターする必要があるのです。

もう1つは、声質自体がかすれている人です。原理は裏声と似ているのですが、何らかの理由で声帯が変形していて(長年大声を出してきた人、炎症などを起こしている人など)、地声を出そうとしても、声帯が密着しないために、常に息漏れを起こした状態になっているのです。これは作ろうとして作れるものではないので、長い時間をかけて練習をたくさんして声を変えていくしかありません(急激に喉に負荷をかけるようなことは絶対にしないで下さい)

お腹から声を出す感覚というのは、腹式呼吸がマスター出来ていないと難しいのですが、腹筋を使って息を押し出すイメージといえば良いでしょうか。ただし単にお腹に力を入れれば良いというわけでも、お腹に空気が入っているわけではありません。この辺の感覚はトレーニングを積んでいないとイメージが難しいと思いますが、あくまで横隔膜を使いこなして息をコントロールすることが必要なのです。

キーが高くなると、喉やアゴに力が入ってしまうのは、トレーニングをしていないアマチュアの方によく見られることです。高い声は、声帯の筋肉を使って声帯を薄く引っ張ることで出します。トレーニングをしていない人は、この筋力が弱いので、その音を出すために、無理に力を入れて出そうとしてしまうのです。喉に力が入れば、ピッチも悪くなりますし、響きも悪くなるので細い声しか出せません。そして無駄な力が入るので、すぐに疲れてしまいます。(低い音は、声帯をそれほど引っ張る必要がないので、誰でも簡単に出せるのです)

とはいっても、急に力を抜こうとしても、なかなか上手くいかないと思います。声帯を少しずつ鍛えていき、少しずつ力を入れなくても出せる音(歌に使える声)を広げていきましょう。スポーツと一緒で、何もせずに出せるようになることは決してありません。野球でもサッカーでも、最初は正しいフォームから学びます。歌も同じで、アマチュアの方は息や喉の基本的な使い方が出来ていないことが多いので、正しいボイストレーニング(フォーム)を学べば、ある程度の高い声はすぐに出せるようになりますよ!

がんばってくださいね!


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