Q96：初めまして。歌うことが好きな大学生です。私は歌う時にとても悩んでいることがあります。それは「裏声を出すときに空気が漏れている感じがする」ということです。
文章で表現するのが難しいのですが、裏声を出すときにうまく綺麗に裏声が出ず、かすれて聞こえてしまいます。
この悩みのせいで裏声を使って歌っている男性歌手の曲はうまく歌うことができません。この長年の悩みを解消する方法が見つかると思い、相談させていただきました。
もし、この悩みを解決する方法があればこれから実践していきたいと思っています。もっと幅広い曲を歌えるようになり、そしてこれまで以上に音楽を楽しみたいです。よろしくお願いします。(20歳・大学生・男性）
こんにちは！
裏声はマスターすると、使える音域や声の幅が広がって、非常に有効な表現方法ですが、簡単そうに見えて、実はとても難しいテクニックです。
いや難しいというのは少し語弊がありますね。「発声の基礎が出来ていないと難しい」
と言ったほうが正しいです。
地声は、声帯全体をぴったりと閉じてそこに息を通す発声なのに対し、裏声とは、声帯の一部だけを閉じて息漏れをさせる発声法です。
ですから、「空気が漏れている感じ」がするのは正常だと考えて下さい。
問題は、綺麗で太く伸びやかな裏声が出ているかどうかです。
もし弱々しく細くて詰まったような裏声しか出せないのであれば、それは裏声が下手という以前に、地声の発声自体が正しく出来ていない可能性があります。裏声が上手に出ないというアマチュアの方の歌を聴いていると、ほぼ間違いなく正しい呼吸・発声が出来ていません。
呼吸・発声の土台が固まっていないと、いくら裏声を一生懸命練習しても、上手くはいかないと思います。ですから、裏声が上手くいかなければ、まず地声の呼吸・発声を疑ってみて下さい。
逆に言えば、正しい地声が出せていれば、特に練習をしなくても、太くてしっかりとした裏声が出せるはずですし、その延長でミックスボイスなどのテクニックも容易になります。
特に注意する点は、お腹から息（声）が出ていること。喉が広く開いていること。この２点は絶対条件です。ここが良くなるだけで、声は大きく変わるはずですよ。ぜひご自身の腹式呼吸と発声をチェックしてみて下さい。
具体的な裏声上達ドリルなどはご紹介できなくてごめんなさい。でも本当に裏声だけ上達する方法などはないのです。
ただ、もう一点。実際に声を聴いていないので一般論になりますが、息漏れを通り越して「かすれ声」になってしまっているようであれば、何らかの原因で声帯に異常が出ている可能性があります。
かすれ声の原因は、声帯の炎症・ポリープなどにより、本来閉じていなければならない部分が閉じずに隙間が出来てしまい、そこから息が漏れてしまうことです。これは裏声の息漏れとは別の話です。
歌い過ぎて喉が腫れている恐れがあるので、しばらく喉を休めて様子をみて下さい。声の変化は体調のバロメーターになります。ボーカリストは、楽器である「自分の体」をしっかりメンテナンスしてあげて下さい。
ありがとうございました。
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