歌がうまい!と言われるための究極奥義<その2>ダイナミクス

音楽は時間の芸術と言われています。瞬間を切り取る芸術である絵や写真と異なり、時間の流れに沿っての変化を表現するのが音楽です。

つまり、「ある瞬間とその次の瞬間の変化」が音楽という芸術の本質でもあるわけです。 音の変化と言っても色々ありますが、その中で大事なのは、音量の変化、つまりダイナミクスです。

<奥義その2 ダイナミクスを極める>

アマチュアの方の歌を聴いていて非常に多いのは、メリハリのない歌です。

原因としては、音程やリズム、難しいフレーズなどの細かい部分に意識がいってしまっていたり、音量のコントロールができないという技術的な問題などがあります。 何より、ダイナミクスをつけるという意識がないことが一番の原因でしょう。

結果として、流れのない平坦な歌になってしまっているのです。メリハリのない音楽ほど面白くないものはありません。

例えば、自分の出せる音量を10としたら、Aメロから8ぐらいでスタートして、サビの一番盛り上がるところで10になったりします。これでは、変化は2しかなく、いくら一生懸命歌っても、聴いている人には「メリハリがない」と感じさせてしまいます。

ところが、最大音量が8しかなくても、2ぐらいからスタートすれば、サビで8までしか出ていなくても、変化としては6あることになります。これなら聴いている人には、「メリハリ」があると感じてもらうことができます。

かなり大雑把な例えですが、これがダイナミクスのある歌です。超一流のミュージシャンのライブを観ると、びっくりするくらいダイナミクスがあります。音量の変化で会場を盛り上げていることがとてもよく分かります。(この辺はDVDなどでは伝わらないので、ぜひライブ会場に足を運ぶことをおススメします)

普段聴いているCDの音は、ラジカセや有線放送などで聴きやすくするために、サウンド全体にコンプレッション処理をして平坦に聞こえるようにしています。

ですが、元々のミュージシャンの演奏自体はとてもダイナミクスのあるものであるのです。録音した自分の歌とプロの歌を聴き比べて、イマイチ単調だと感じる方は、ぜひダイナミクスを意識してうたってみて下さい。

ダイナミクスを極めるには、音の前後関係、つまり「ある瞬間とその次の瞬間の変化」を意識することが必要です。大事なのは絶対的な音量ではなく、「相対的」な音量であるということです。

ある音が鳴ったら、次の音はどのような音量で鳴るべきなのか。そしてその次の音は・・・。全体としてはこのような流れにしよう。そういったことを考えてフレージングを決めていきましょう。それらはメロディーによって決まってくるかもしれません。歌詞によって決まることもあるでしょう。その中で自分ならではの音量表現を模索してみましょう。

ある有名プロボーカリストのレコーディング時の歌詞カードを見たことがありますが、細かいダイナミクスがびっちり書き込まれていました。こんなに丁寧に繊細に考えて歌っているのかと驚いたものです。

ダイナミクスを極めることができれば、みなさんの歌は驚くほどグレードアップしますよ。
ぜひ頑張って練習してみてください。

今回は以上です。お疲れ様でした。

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