歌がうまい!と言われるための究極奥義<その11>高音を出す

伸びやかでパワフルな高音を出すことは、歌をうたう人なら誰でも憧れるものだと思います。

<奥義その11 高音を出す>

自分の使える音域の範囲内の曲を選んで歌えば問題はないのですが、近頃のポップス・ロックでは、高音を必要とする楽曲が多くなってきましたから、そうも言っていられませんね。

歌っていて、一音でも自分の出せる音域を超えているのは、本人も聴いているほうも、気持ちのいいものではありませんから、音域は広いに越した事はありません。

しかし、訓練をしなければ、音域は絶対に広がりません。

朝起きたら、急に高音が出せるようになるということはないのです。プロが素晴らしい高音を出せるのは、裏で血の滲むような訓練を積んだ結果なのです。

私たちは、そうした努力の成果に感動するのではないでしょうか。訓練で身につけた芸が人に感動を与えるのは、音楽に限らず芸術全般にいえることですよね。

ではどうすれば高音を気持ちよく出せるようになるのでしょうか。

高音と言っても2種類あります。それは、「使える高音」と「使えない高音」です。

使える高音とは、中低音域と同様のレベルの太い声質を維持して出せる歌声です。使えない高音とは、喉を無理に締め付けて、中低音域とは明らかに違う声質(大抵は線が細く弱々しい声)になっている声です。

多くの人は、使えない高音を「使える声」と勘違いして歌っています。もしくは、使えない声だと認識していても、それ以外に方法がないため仕方なく歌っていると思います。

高音を気持ちよく出すということは、中低音域と同様の発声で「使える高音」を出すということです。

もちろん中低音域において、正しい呼吸・発声が出来ていなければ、「使える高音」を出すことはできません。中低音域の発声をマスターすることが、高音を手に入れる近道です。

高音を出すメカニズムは簡単です。音は空気振動であり、空気が速く振動すればするほど、音は高くなります。声で高音を出すには、声帯を速く震わせればいいのです。

しかし、声帯を速く震わすというのが簡単ではありません。速く震わせるには、声帯を縦にピンと引っ張って薄く伸ばす必要があります。その筋肉は日常生活ではなかなか鍛えることができないので、専門の筋肉トレーニングが必要なのです。

逆に言えば、トレーニングをすれば、誰でもかなりの高音を出せるようになります。(特に、今まで練習をしたことがない人ほど効果は大きいです)

歌は筋肉運動で、声帯を動かす(伸ばす、厚くするなど)のも筋肉です。筋肉運動ですから、ある日突然速く動かせるようになることはありません。毎日の正しいトレーニングによって、少しずつ筋力がついてきます。

残念ながら、高音を出せるようになる裏技は存在しません。(歌の上達全般に言えることですが)地道なトレーニングが一番近道なのです。

そんなに待てない!という方もいらっしゃるでしょう。高音のある曲を上手に歌うコツを2つほどお教えします。

一つは、ファルセットです。ファルセットは声帯を完全に密着させずに一部を振動させる発声法です。

オリジナルのアーティストが地声で歌っていたとしても、何もその通りに歌う必要はありません。(地声で出せるように練習を積むことは大事ですよ)

喉を締め付けて無理やり高音を出すよりは、ファルセットに変更したほうが、自分も失敗するかもしれない高音の心配をしない分、気持ちを込めて歌えるはずです。結果、聴いている人も気持ちよく聴けるでしょう。

ファルセットも簡単な技術ではありませんが、地声で出すよりはラクにできるはずです。また、正しい発声によるファルセットは、地声で高音を出す、つまり声帯を鍛える(声帯を伸ばす筋肉を鍛える)訓練にもなるのです。

もう一つは、曲選びです。

また曲選びかよ!という声が聴こえてきそうですが(笑)、自分に合った曲を選ぶのは、歌を上手にうたう最も大事なことです。

ここでのポイントは、最高音に向かうメロディーラインです。同じ高音でも、その前のメロディーの動き方で、出せたり出せなかったりするのです。この曲では出せたのに、別の曲では出せないという経験がありませんか?

個人差はありますが、例えば、低い音から跳躍しての最高音に飛ぶようなメロディーだと難しい場合が多いですね。

同じ跳躍でも1オクターブなら取りやすくて、6度や7度の跳躍は苦手という人もいるでしょう。逆に、高音部でしばらく動いていて、階段状に1音上がって最高音に達するようなメロディーなら出しやすかったりします。

曲を選ぶときは、歌いたい曲があったら、歌本などでメロディーの動きをチェックしたり、楽器を持っていれば、メロディーを譜面に起こしてみて下さい。もちろん自分の苦手な動きを把握しておくことも大事ですから、色々な曲を歌って研究してみましょう。

高音がどれくらい出せるかどうかは、生まれ持った声帯の形やその人の筋力によっても変わります。ですから、出せる音は個人差があります。他の人がどのくらい高音を出せるか、ということより、自分が歌いたい曲、表現したい音楽に必要であれば、練習して手に入れるという考え方を持つとよいですね。

音域が広がれば、表現の幅が広がります。楽な道ではありませんが、手に入れることができれば、歌にとっては強い武器になります。歌は体が楽器ですから、壊れたら買い換えることができません。

無理をせずに、正しい練習を継続することが一番ですからね。

今回は以上です。お疲れ様でした。

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