レコーディングという言葉自体は結構耳慣れているかと思います。レコーディング=音を録音するということはぱっとイメージできるのではないでしょうか?
良い演奏を良い音で録音する、これがレコーディング作業です。
アーティスト・プレイヤーの仕事
例えば、ボーカルをレコーディングするときには、体調やノドの強さにもよりますが、たいてい3〜4回は通して歌います。楽器と違って、ノドは歌いすぎると疲れて声が変わってしまいますから、ベストな歌がうたえるのは、3〜4回くらいなのです。体調を整えておくのは当然ですが、限られたノドを有効に使うために、前もってしっかりリハーサルをしておくことも必要です。
楽器も基本的には同様です。レコーディングに入ってから練習をするなどということがないようにしましょう。
サウンドプロデューサーやディレクターがやること
レコーディングにおいて、サウンドプロデューサーやディレクターの大事な仕事は、良いテイクを見逃さないことです。 「旬」を見極めて、限られた時間の中で、ベストな歌唱・演奏をさせる、力を100%引き出すのが役割です。
良くない箇所を的確に指摘し修正していかないと、とても数回のうちにベストテイクを録音することはできません。そのためには良い耳を持ち、良い音楽を知っていて、それを的確に表現するコミュニケーション能力が必要になります。アーティストの気分を盛り上げたり、歌いやすい環境を作ることも大事です。
レコーディングエンジニアの仕事
限られた回数の中で、ベストな音質で録音するのはレコーディングエンジニアの仕事です。
先ほども説明しましたが、レコーディングエンジニアと呼ばれる人たちは、良い音を作る、つまり「音響的に音をコーディネート」します。ですから、音響的な知識、技術に長けてなければなかなかつとまりません。
マイクをどのように立てれば良い音で録れるか、マイクの位置が1ミリずれただけでも音が変わってしまいますから、繊細に音を聞き分ける能力が必要になってきます。レコーディングルームのブースに入って録音機材を動かすのも仕事ですが、それだけではないのです。
興味がある方は、自分の声が一番よくとれるであろうマイクのたてかたを研究してみるとよいでしょう。
スタジオについて
レコーディング・ミックスダウン・マスタリング・という過程は、かならず立派なスタジオでなければ出来ないことではなくて、機材さえあれば自宅でレコーディング・ミックスダウン・マスタリング、そしてプレス(複製)することも出来ます。いわゆる「宅録」と呼ばれる方法ですね。 カセットテープのデッキを使用するのも、録音再生MDウォークマンを使用するのも立派なレコーディングです。
大事なのは、「良い演奏を良い音で録音する」ことです。
プロ用の高価なレコーディングスタジオを使えば、いい音で録音することはできます。ですが、いい演奏をできるかどうかは、アーティストの力量しだいなのです。
最近はコンピューターを使ったいわゆる「ハードディスクレコーディング」が主流です。このようなスタジオは比較的安価に利用できるので、予算を抑えることができます。ここまでの一連の作業において言えることは、アレンジや曲がすばらしくてもこれら作業で失敗してしまうと、せっかくの良い曲が台無しになってしまうということです。
アーティストを目指す皆さんが、レコーディングエンジニアに負けないくらいの知識をもっている必要はないですが、「音楽的に音を聞ける耳」と「音響的に音が聞ける耳」を持っておくと、これは大変強い武器となります。
一つの気に入ったCDを見つけたら、その曲がなぜすばらしいのか、どういう音作りをしているか、念頭に置いて音をきいてみるとよいですね。
では、実際にレコーディングに入る前にスタッフはどんな準備をしているのかをご説明します。
レコーディングの準備
実際にレコーディングに入る前には、まず「どんなCDを作るか」を決めなくてはなりません。
企画書を作る
CDに限らず、何かを作ろうと思ったら、まず企画書を作ります。 どんなものを作るかという設計図のようなものです。
5W1Hという言葉を聴いたことはありませんか?文章を組み立てたり、人に何かを伝えるときに押さえるべき基本事項ですね。ビジネスの世界では、これにHをもう一つ加えて、5W2Hを押さえて企画を立てます。
5Wとは・・・
@what (何を作るか)
Awhy (なぜ作るか)
Bwho (誰が作るか)
Cwhen (いつ作るか、発売するか)
Dwhere (どこで作るか、発売するか)
2Hとは・・・
@how (どうやって作るか、売るか)
Ahow much (いくらにかかって、いくら儲かるか)
要するに、どんなCDを、どのくらいのお金をかけて、どのくらい売って、どのくらい利益を上げるかということです。
制作担当のディレクターやプロデューサー・A&Rは、CDを作るにあたって、これらを網羅した企画書を作ります。CD制作はビジネスですから、儲けを出さなければなりません。いくら素晴らしい音楽を作っていても、売れなければ商売として成立しないからです。
ですから、お金を出してくれる人(会社)に「これは儲かる!」と思ってもらえなければ、企画は通りません。音楽の内容のみならず、かかる経費、売上見込みなど様々な角度から予測をたてて、ビジネスの青写真をつくるわけです。
売上予想を立てるというのは、なかなか容易ではありません。このアーティストを気に入りそうなお客が日本に何人くらいいて、その人たちにCDの存在を伝える方法を考えてと、いわゆるマーケティングをしっかりしなければならないのです。
企画内容が会社に認められてはじめて、、予算をもらってCD制作の準備に入ります。
企画書を作りにしても、まずはリリースしたいアーティストがいなければなりません。
アーティストはどこから探してくるのでしょうか。
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目次 はじめに |
第1章 - お客さんがCDの存在を知るまで 1. CDを知ってもらう 2. メディアにのせる・記事・広告 3. 試聴機に入れてもらう・ライブ活動 4. CDがお店に並ぶまで・流通 |
第2章 - CDクレジットから業界を覗いてみよう 1. CDクレジットの説明 |
第3章 - CDが出来るまで 1. マスタリングとミックスダウン 2. レコーディング 3. アーティストの発掘 |
第4章 - 契約、そしてお金が動く 1. アーティストに関わる契約 2. アーティストが手にする収入 3. 新人と大物の収入 4. 著作権と音楽出版社 最後に |