ではCDジャケットのクレジットから、CDを作るためにどのような人が関わっているのかを見ていきましょう。
<よくあるCDクレジットの例>
Exective Producer:山手いちろう(スマイルプロダクション)
Sound Producer:品川たろう
A&R:大崎よしろう
Promotion:田町きょうこ
Management:上野のりこ(スマイル プロダクション)
Musician Coordinator(インペグ):渋谷けんいち
Recorded&Mixed by:田端みちお
Assistant Engineer:鶯谷りょうた
Mastered by:巣鴨しろう
(※表記はあくまで一般的なものです。会社によって違う表現を使うこともあります)
@Exective Producer
(エグゼクティブプロデューサー) Exective=最高の、トップの・・という意味です。
CDを作るにあたって、CDを作るところから販売までにどのくらいお金がかかるかを見積もり、どのように作業を進行させていくかなど、全てをとり仕切るボス的存在になる人の事を指します。
ASound Producer
(サウンドプロデューサー) プロデュース=生産する・・という意味です。
映画などで呼ばれるプロデューサーはお金を出資する人と意味もあるらしいですが、この「サウンド」という言葉がつくプロデューサーはいわゆる出資者ではなく、音楽的に一番強い決定権を持つ人で、アーティスト本人が作曲・アレンジが出来なければ作曲・アレンジまでをもこなす人。音楽的にトータルコーディネートをする人の事を指します。Produced&Arrangedと表記されている場合もあります。
BA&R(Director)
(エーアンドアール、ディレクター) A. & R.=アーティスト&レパートリーとは、歌手とその曲目という意味です。A&R、ディレクターとは、CDリリースまでの予定や進行を管理する人のことです。
発売するアーティスト、楽曲の選定やレコーディングの仕切り、どのような方向で売り出していくかなどを戦略的に考えて実行する人です。レコード会社の社員の場合もありますし、外部A&Rと契約することもあります。
CPromotion
(プロモーション) プロモーションとは「促進」という意味です。プロモーションビデオ(PV)などと使われるので、言葉にはなじみがありますね。
プロモーションの意味は2つあって、テレビ・ラジオなどにメディアへの宣伝と、CD販売店で大々的に、目立つようにCDをおかせてもらうために販売店に直接宣伝にいくタイプがあります。この場合セールスプロモーションと呼ぶこともあります。クレジットに括弧して、「ディストリビュート」と敢えて表記されていたら、それは、流通業者のことを指します。
DManagement
マネージメントとは、もともとの意味は「経営などの管理をする、経営者」という意味ですが、音楽業界では、いわゆる「アーティストマネージャー」という意味で使われます。
アーティストマネージャーは、主に自分が担当するアーティストのための営業・宣伝・時には企画までををこなします。アーティストのスケジュールを管理するところから、アーティストがライブに出演できるように交渉したり、アーティストが関わる仕事の打ち合わせにいったり、ツアーなどがある場合はアーティストをその旅先まで連れて行ったり・・仕事内容をあげるとキリが無いほど沢山の役割を抱えています。アーティストが音楽活動に没頭できる様に、その他の営業的な部分・宣伝的部分を担っています。
マネージャーの腕によって、そのアーティストが売れるか売れないか決まると言っても過言ではありません。ビートルズの敏腕マネージャーであるブライアン・エプスタインが良い例ですね。
EMusician coordinator
通常、「インペグ」と呼ばれます。レコーディングする曲の編成によりますが、もしアーティストがソロボーカリストとして活動していて、バックをバンド編成にする場合、またはそれにストリングスなどの楽器を足していく場合などは、それぞれ楽器が弾ける外部ミュージシャンを用意しなければなりません。
そんなときに、ミュージシャンを0から探すのはとても大変です。ミュージシャンを一括で手配してくれる会社のことをインペグといいます。要は、レコーディングの時に必要なミュージシャンを派遣する会社のことです。
インペグ会社には腕の優れたミュージシャンが沢山登録されていて、必要な時すぐ派遣出来るような仕組みになっています。
FRecorded & Mixed by〜
(レコーデッド アンド ミックスド バイ〜) レコーディングやミックスダウンをしたエンジニアの人を指します。エンジニアとは技術者という意味です。
通常プロのレコーディングでは、それぞれの楽器パートをばらばらにマイクで拾って音を録音します。できるだけ元の音に忠実に、良い音で録音するのがレコーディングエンジニアと呼ばれる人たちです。マイクをどのように立てるか、どのような位置に楽器をセッティングするかなどを考えることが重要な仕事です。
ミックスダウンというのは、そのレコーディングで、いくつものトラックを使って録音した楽器パートの音量や音質のバランスを調整して「2トラック」にまとめる作業の事です。
レコーディングとミックスダウンは、同じエンジニアが同じスタジオで行う場合が多いです。日本で録音して、ミックスダウンだけを海外のエンジニアにお願いすることもあります。
サウンドプロデューサーが良い「音楽」を作るプロデューサーであるならば、レコーディングエンジニアは良い「音」を作るプロデューサーといえるでしょう。
GAssistant Engineer
アシスタント=仕事の補佐をする人、助手という意味です。レコーディングエンジニアのお手伝い(補佐)をする人、ということになります。レコーディングに必要な道具を用意したり、録音の際にRECボタンを押したりと、レコーディング作業全般のアシスタントをします。雑用的なことも沢山あるので、エンジニア見習いや新人がつとめます。
※ 「アシスタント」とつくのはエンジニアだけではありません。プロデューサーに補佐役がついていれば「アシスタントプロデューサー」と表記されるし、マネージャーに補佐役がついていれば「アシスタントマネージャー」となります。いずれにせよ、 「アシスタント」という文字がついていたら、お手伝いをする人をさします。
HMastered by〜
マスタリングした人をさします。マスタリングとは、簡単に言うと、CDの最終的な仕上げをすることで、具体的に言うと、曲順を変えたり、曲間の秒数を決めたり、音質を最終調整したりします。
(マスタリングについては次の章で具体的に解説します。)
レコーディングやミックスダウン・と作業的にも機材的にも違うので、ミックスダウン・レコーディングエンジニアとは別の人が担当します。
まとめ
このCDクレジットをみるだけでも、一枚のCDを作るために、これだけたくさんの音楽関係者が働いているわけです。また更にその部下がいて、ジャケットの写真を撮る人、デザインをする人、ヘアメイクさんだとか、直接音楽以外の仕事する人たちも沢山関わっていて、全ての人を合わせると、その数は膨大なものになります。
その世界を、このクレジットを通してイメージすることが出来ましたか?
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目次 はじめに |
第1章 - お客さんがCDの存在を知るまで 1. CDを知ってもらう 2. メディアにのせる・記事・広告 3. 試聴機に入れてもらう・ライブ活動 4. CDがお店に並ぶまで・流通 |
第2章 - CDクレジットから業界を覗いてみよう 1. CDクレジットの説明 |
第3章 - CDが出来るまで 1. マスタリングとミックスダウン 2. レコーディング 3. アーティストの発掘 |
第4章 - 契約、そしてお金が動く 1. アーティストに関わる契約 2. アーティストが手にする収入 3. 新人と大物の収入 4. 著作権と音楽出版社 最後に |