皆さんはアーティストになぜなりたいのでしょう?
もちろん、歌が好きでいろんな人に聞いてもらいたいから!という理由もあるとおもいますが、現実は「好きだから」だけではなかなか生活していけません。
ご存知だと思いますが、アーティストという職種は非常にリスキーなものです。公務員のように安定した収入が保障されているわけではありません。売れれば大金持ちになれるかもしれませんが、ほとんどは成功を夢見てぎりぎりの生活をしているのが現状です。
非常にハイリスクハイリターンな商売といえます。
そういうことを踏まえて、アーティストになるとどのような収入が発生するのか、お話しましょう。まず、CDを発売して収入を得るためには、多くの場合、レコード会社やプロダクションなど色々な会社と契約をしないといけません。
契約ってなんだろう?
「レコード会社と契約して〜」なんて聞くとなんだか「すごくかっこいいー!」「業界人っぽい!」と思う方も少なくないかもしれません。契約とはどういうものなのでしょうか。 契約は、アーティストの生活を左右する重要な鍵を握っています。
音楽ビジネスは、別名「権利ビジネス」とも言われます。
つまりアーティストと彼が生み出す音楽に関わる様々な「権利」を誰が持つか、という商売なのです。言うまでもなく、権利をたくさん持っていればいるほど、収入も大きくなります。
様々な権利を「こういうふうに分けましょう」と約束することを契約というのです。
そもそも「契約」とは何でしょう?音楽業界のみならず、世の中のビジネは契約によって成り立っています。
「契約」を辞書で調べると
「二人以上の当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為」
・・・ と書いてあります。なにやらよく分かりませんね。
契約とは簡単に言えば、約束事のことです。
Aさん「僕にバレンタインチョコレートを2月14日に必ずチョウダイね」
B子さん「うん、絶対あげるね」
という約束をすれば、立派な契約になります。でも2月14日になって、
Aさん「チョコレートちょうだい」
B子さん「あんたにあげるつもりはないわ」
Aさん「え〜〜話が違うじゃないか!」
B子さん「そんなこと言った覚えはないわよ!」
Aさん「言ったよ!」
B子さん「言ってません!!!」
こんなふうに、言った言わないという泥沼になることもよくありますよね。
そこで、
Aさん「僕にバレンタインチョコレートを2月14日に必ずチョウダイね」
B子さん「うん、絶対あげるね」
Aさん「じゃあ、この紙に必ず差し上げますと書いてハンコ押して」
B子さん「う、うん。わかったわ」と書面で残しておけば、後で「言った言わない」でもめることはありません。
この場合、別の意味でもめるとは思いますが・・・・。後で「言った言わない」でもめないために、書面で残しておくものを「契約書」というのです。例えがあまりよくありませんでしたが、音楽ビジネスでもこうしたトラブルを避けるために、約束事には、すべて契約書を交わすのです。
1枚のCDを発売するためには、前に書きましたが、たくさんの人間、会社が関わります。
その中でトラブルが起きないよう、また起きた時にどのように対処するかなどを、その都度その都度契約書で確認しておきます。だから非常にたくさんの契約書が必要なのです。
では、アーティストはCDデビューすると、誰とどのような契約を結ぶのでしょうか?
アーティストに関わる契約
CD発売にあたって、アーティストは主に3つの会社と契約をします。
@レコード会社(原盤制作会社)
Aプロダクション
B音楽出版社
@レコード会社または原盤を制作する会社とは、「このCDを作るにあたって、あなたの歌唱・演奏を録音しますよ」という「録音契約(専属実演家契約)」というものを結びます。
歌を録音する権利はもともとアーティスト本人にあります。ライブを勝手に録音されて勝手に発売されたら困りますよね。CDを発売するためには録音をしないといけませんから、レコード会社に録音をする権利を渡すわけです。
レコード会社はその権利をもとに録音をして、CDに複製して販売します。
Aそれからプロダクションとも契約をします。プロダクション、いわゆる「事務所」とは、「マネージメント契約」というものを結びます。これはスケジュールを管理してもらったり、様々な交渉をしてもらったりする契約です。
CDデビューするとなるとレコーディング、宣伝、営業など、、、大変忙しくなります。事務所はそうしたスケジュールを調整したり管理してくれます。また、契約に関わる交渉なども大変な作業です。契約交渉やお金の管理などをしてもらうことで音楽活動に専念できるわけです。
B3つめは音楽出版社との「著作権契約(著作権譲渡契約)」です。これは「楽曲(歌詞)を使う権利を渡します」という契約です。楽曲(歌詞)は作った時点では作者に権利があります。他人が勝手にその曲を録音したり演奏したりすることはできません。作者がその権利(著作権)を音楽出版社に渡すことで、音楽出版社はレコード会社に「この曲をCDの録音・販売で使う」ことを認めるのです。
では、このような契約を元に、アーティストはどんな収入を得るのでしょうか?
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目次 はじめに |
第1章 - お客さんがCDの存在を知るまで 1. CDを知ってもらう 2. メディアにのせる・記事・広告 3. 試聴機に入れてもらう・ライブ活動 4. CDがお店に並ぶまで・流通 |
第2章 - CDクレジットから業界を覗いてみよう 1. CDクレジットの説明 |
第3章 - CDが出来るまで 1. マスタリングとミックスダウン 2. レコーディング 3. アーティストの発掘 |
第4章 - 契約、そしてお金が動く 1. アーティストに関わる契約 2. アーティストが手にする収入 3. 新人と大物の収入 4. 著作権と音楽出版社 最後に |