契約を元に、アーティストはいったいどんな収入を得るのでしょうか?
レコード会社からの収入
CDを作るにあたって、アーティストは「歌を録音する権利」をレコード会社に渡しますが、アーティストはただで録音権をあげるわけにはいきません。あげるかわりに、「アーティスト印税」(歌唱印税ともいう)という形で売れた枚数に応じた収入を得ます。
印税とは・・・「印税」とは一体なんでしょう?辞書をひいてみると、
「図書やレコードの定価・発行部数などに応じて、発行者が一定の比率で著作者または著作権所有者に対して支払う金銭」ムム・・・なんのこっちゃ?著作権所有者やら、比率やら、こんな難しい言葉ばかり出てくるとギブアップしたくなってしまいますね。
印税というのは、本・CDなどが売れたら、売れた枚数に応じて作った人に支払いますというお金です。ロイヤリティともいいます。アーティスト印税は、ケースバイケースですが、大体CD定価の1〜3%くらいです。新人だと1%が普通です。
プロダクションからの収入
アーティストは、スケジュールなどを管理してもらうかわりに、全収入のうちから管理手数料をプロダクションに払います。この全収入とは、印税やコンサートのギャラ、テレビの出演料など、アーティスト活動に関わるすべての収入です。
手数料もケースバイケースで、決まりはありません。これはどの程度の管理をしてもらうかによって変わってきます。大体20〜30%くらいが相場ではないでしょうか。
新人のうちは手数料ではなく、毎月固定の給料でもらうこともあります。ただこの場合は、生活は安定しますが、いくら売れても収入が変わらないということになります。これもどちらがいいとは一概に言えませんが、よく考えて契約しましょう。アーティストの立場が弱いと高い手数料を取られたり、何年も固定給のままという契約を結ばされてしまうこともあります。
音楽出版社からの収入
CDの発売が決まると、曲(歌詞)はJASRAC(日本音楽著作権協会)に登録されます。曲を録音してCDにして販売するとき、レコード会社は、その曲を使う許可もらって、使用料をJASRACに支払います。
使用料は、CDの定価の6%と決まっています。それを作るCDの枚数分支払います。
例えば、定価1000円のCDを1万枚作ると、レコード会社は、
1000円の6%=60円
1枚につき60円の1万枚分なので、60万円を、JASRACに支払います。(※実際には税金など、もう少し細かい計算しますが、ここでは分かりやすく書いています)JASRACはそこから手数料を引いて、残りを音楽出版社に支払います。音楽出版社はそこからさらに手数料(だいたい50%!)を引いて、作曲者・作詞者に支払います。
では次に、一番気になる、実際にいくらくらいもらえるのか、についてお話しましょう。
実際にいくらくらいの収入になるの?
さて、いよいよCDが発売されるとアーティストの手元にいくらお金が入るのかをシミュレーションしてみましょう。
まず、収入のもととしては、大きく分けて、著作権印税とアーティスト印税(歌唱印税)の2つがあります。これはアーティストがどういう立場にいるかで変わります。どのように違うか、シミュレーションをしてみましょう。
リクープラインってなに?
音楽業界のスタッフ同士の会話で、よく聞かれる言葉に「リクープライン」とか「リクープする」というものがあります。
リクープというのはCDの売り上げがCDを作るためにかかった費用を超える、つまり黒字になることです。分かりやすくいえば「元をとる」という意味ですね。リクープラインというのは、〜枚売れれば、プラスマイナス0になるという枚数のことです。
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目次 はじめに |
第1章 - お客さんがCDの存在を知るまで 1. CDを知ってもらう 2. メディアにのせる・記事・広告 3. 試聴機に入れてもらう・ライブ活動 4. CDがお店に並ぶまで・流通 |
第2章 - CDクレジットから業界を覗いてみよう 1. CDクレジットの説明 |
第3章 - CDが出来るまで 1. マスタリングとミックスダウン 2. レコーディング 3. アーティストの発掘 |
第4章 - 契約、そしてお金が動く 1. アーティストに関わる契約 2. アーティストが手にする収入 3. 新人と大物の収入 4. 著作権と音楽出版社 最後に |