音符や拍子のことは覚えましたか?
では最後に、譜面に出てくるその他の記号や決まりごとについて説明します。
テンポとは、曲の速さのことです。曲の速さを指定するときに必要になります。
テンポは「数字」で表す場合と「言葉」で表す場合があります。
このような表記を見たことありませんか?
この 「=80」というのは、「1分間に(4分音符)が80回入る速さ」という意味です。
テンポは「BPM」とも言います。 最近のポップスの譜面ではよく使わますので覚えておいて下さい。
BPMとは「Beat Par Minute」 の略で、Beatは「拍」、Parは「〜につき」、Minuteは「分」という意味です。例えばBPM80といえば、1分間に拍(4分音符)が80回入る速さ、つまり上と同じ意味になるわけですね。
曲のテンポというのは、その曲のイメージを作ってしまうものなので、アレンジ(編曲)の際にはとても気を使います。
ボーカリストの人もそれぞれ、自分の歌いやすい速さがあるはずです。
将来オリジナル曲をレコーディングするときに、「ちょっと歌いにくいな」と思ったら、BPMを調節してもらいましょう。
調号のところで「♯」や「♭」を勉強しました。
「♯」や「♭」は調号以外に「臨時記号」として譜面の中で使うことがあります。
ちなみに調号は、その効力は1曲を通して及びますが、臨時記号は「その小節の中だけ」です。
では下の譜面を見てください。 このように曲の途中で、調号以外の「♯」「♭」をつけることができるのです。ではA〜Fの音は♯させて弾くのでしょうか?♯させないで弾くのでしょうか?順番に説明していきましょう。
Aは♯がついてるから♯で弾きます。
臨時記号は1小節の中は効果があるので、Bにも♯をつけます。
♯をさせたくなかったら、C のように「ナチュラル」をつけないといけません。
では問題。
「F」には♯はつくでしょうか、つかないでしょうか?
正解は、
FにはEの部分の「ナチュラル」が効いているので、#をつけずに演奏します。
臨時記号は、1小節しか効果がないのですが、下の譜面のようにタイでつながっている場合、「A」は臨時記号が効いているから注意してください。
でも「B」は♯しません。まぎらわしいから「B」には「ナチュラル」をつけておいてあげると親切ですね。
それから、もう一つ注意してほしいのは、オクターブ違いの音には効果がないということ。
下の譜面だと、「A」の音には♯がついていても「A」のオクターブ上の音である「B」には♯は効きません。
もし「B」にも♯を付けたいときは、ちゃんと♯を書かないといけないので注意して下さい。
奏法の記号
では次は奏法を表す方法です。
「なめらかに弾いてほしい」ときには(スラー)という記号を使います。
スラーには「フレーズの区切り」を表すときにも使われます。
フレーズを一息で演奏してほしいときなどに書きます。
スラーに似た記号で「タイ」というのがあります。
スラーとタイは似ていますが、「タイ」には音符をつなげる役割があります。
次はスタッカートとテヌートについてご説明します。
音符の下の「.」をスタッカートといいます。これは「するどく、音を跳ねて」という意味です。「タッ、タッ、タッ・・・」のように歯切れよく演奏します。軽快なリズムにしたい場合などに使うと効果的です。
それから、音符の下に「_」がついていますが、これをテヌートといいます。これは「音を伸ばしながら演奏する」という意味です。
「ターターター・・・」のような感じですね。こちらはスタッカートと反対にスピード感がなくなりゆったりとした雰囲気になりますね。
その他の記号
ほかにも演奏する上でとても重要な記号があります。使い方と意味を理解して正しく有効に使ってくださいね。
ブレスマーク このマークがあるときに、呼吸を入れるという意味です。歌う場合だけでなく、楽器にも「呼吸」という意味もありますので、このマークに関わっているのは「歌う人」だけではないのです。 |
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アクセントマーク 音符の上にこのマークがついていたら、その音を特に強く弾きましょう、ということです。 こんな風にアクセントのついている音は大きく強く弾きます。 |
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フェルマータ この記号がついた音は、「十分にのばす」という意味があります。 ただし、その音自体が長くなるのですが、だからといってそこだけ拍子が変わる・・・というようなことはなく、あくまで拍子は変わらない中で、音を十分よくのばすという意味があります。しかし別に長さがどのくらいだとか決まっているわけではありませんが、目安としては、本来の2 〜3倍の長さくらいです。 |
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プラルトリラー [Pralltriller] このギザギザのマークがついている次の譜面を見てください。 このように書かれていたら、次のように次のように演奏しちゃいます。 |
最後に反復記号について説明します。同じことを繰り返す場合、全部書いていたら、書くのも大変だし、楽譜も長くなってしまって読みにくいですよね。その場合は「反復記号」を使って、簡潔に表すことができます。
1.リピートマーク
これを両側の記号 と をリピートマークといいます。リピートマークで囲まれた箇所を2回繰り返しなさい、という意味なんです。この場合は、A-B-A-Bというように演奏します。
ただし、曲のはじめからリピートするときには は省略するので注意して下さい。
2.カッコ
繰り返しの終わりの部分だけ違う場合、カッコをつかって表します。1番カッコ、2番カッコなんて呼びます。
この場合は、A-B-C-A-B-D-E の順番で演奏します。
では、これはどういう順番で演奏するかわかりますか?
1、2,3て書いてあるということは、3回繰り返しなさいということです。
それで4回目はDに行きなさいとい意味ですから
A-B-C-A-B-C-A-B-C-A-B-D-E
というわけです。
3.ダカーポ、ダルセーニョ
次の譜面をみてください。
この「D.C.」という記号は「ダカーポ」といって、「曲の頭に戻りなさい」という意味です。
この場合はA-B-C-D-E-F-A-B-C-D-E-F という順番で演奏します。
次はダルセーニョです。
また新しい記号が出てきましたね。
D.S.とは「ダルセーニョ」といいまして、(セーニョマーク)まで戻りなさいという意味です。
ダカーポと似ていますが、戻る位置を自由に指定できるところが違うんです。
まずAからGまでいき、それからセーニョに戻るので、
A-B-C-D-E-F-G-D-E-F-G-H
になります。
4.コーダ
この のマークを「コーダマーク」といいます。
これができたら、次のコーダマークまで飛びなさいという意味なんです。
ですからこの譜面の場合は、A-B-E-F と進みます。
5.小節単位の繰り返し表記
最後に小節ごとに繰り返す場合の表記について説明しましょう。
このようにある小節を繰り返したいときはという記号を使います。これはその前の小節と同じことを弾きなさいという意味です。
ちなみに前の2小節を繰り返すときは、中の/線を2本にします。
3小節、4小節と繰り返したければ、/線を増やしていけばOKです。
反復記号については分かりましたか?
これらの反復記号を駆使して、より分かりやすい譜面を書いていくんです。
楽譜とは、作曲者(編曲者)が演奏者に、自分の意思を正確に伝えるための大切なものなのです。ですから演奏者(楽譜を読む人)にわかりやすく書かなくてはいけません。
分かり易い譜面の条件の一つは、「リズムが見やすく・弾きやすい(歌いやすい)」譜面です。もちろんきれいに書くのもとっても大切なことですよ。
下の譜例を実際に歌ってみてもらえますか?(リズムだけでもOKです)
とても歌いにくいのではないですか?
この譜面は拍数も正しいし、決して間違った書き方はされていないのに、どうして弾きにくいのでしょうか?
この書き方では拍の頭がわかりにくいのが原因です。
この場合は次のように書くのが正解です。
自分で何か楽譜を書いてみたら、演奏者の立場になって実際に弾いてみてチェックするといいですね!もし自分で「ちょっとわかりづらいなぁ」って思ったら、ほかの人も同じように思う可能性があるので、再検討しましょう。
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