あいうえ音楽理論 for ボーカル

4.音ってなんだろう

音とは

普段何気な〜く耳にしている「音」
今回は、その「音」というものを考えてみましょう。

「音」と言われたら、皆さん何を思い浮かべますか?

音といえば・・・・足音・ガラスの割れる音・人の話し声(悪口は特に)・空調・電話・テレビ・紙を破る音・雨や風・木々のざわめき・・・。

色々ありますね。私達の周りは「音」で溢れています。もちろん歌も「音」です。

では、音楽で使う音と、ただの物音ではどう違うのでしょう。

音のなりたち

そもそも 「音」とは何でしょうか?

「音」とは簡単に言ってしまうと、「空気の振動」のことです。

何か物体を叩いたりすると、その周りの空気が揺れます。
その空気の振動が耳まで届き、鼓膜を震わせて、脳が音として認識するのです。


空気がどうように振動するかで、色々な種類の音になります。

音楽において、空気はとても大事なのですね。息を吸ったり吐いたりするだけでなくて、私たちの大好きな音楽も空気がないと楽しめないのですからね。

音の3要素

音には「3要素」というものがあります。
それは「@高さ A大きさ B音色」です。

音楽はこの3つを組み合わせることで成り立っています。ではそれぞれについて説明していきましょう。

1.音の高さ(音程)

まず、「高さ(ピッチ)」ですが、これは空気の振動の速さによって決まるのです。

揺れの速さが、速ければ速いほど高い音になり、ゆっくりであればあるほど低い音になります。
下のイメージを見てみましょう。



空気が1秒間に何回揺れたかを「周波数」といい、ヘルツ(Hz)という単位で表します。
例えば、1秒間に100回揺れれば、100ヘルツ。1秒間に1万回揺れたら、1万ヘルツ、ということですね。

このようなイメージです。



このイメージだと、1秒間に3回揺れているので、3ヘルツということですね。

ちなみに100ヘルツというのはすごく低い音です。10000ヘルツというのはすごく高い音です。何ヘルツがどのくらいの音なのかを知っておくと、音楽を作る上でとても役に立ちますよ。

ちなみに、1000ヘルツ=1k(キロ)ヘルツ という風に書くんだよ。

長さを表すときと同じですね。1000メートルは1キロメートルといいますよね。
1000=k(キロ)、10000=10k、100000=100k という具合です

ちなみに、人間の耳に聞こえるのは、20ヘルツ〜20000(20k)ヘルツまでだと言われています。

参考
男性の話声 130ヘルツ(※個人差はあります)
女性の話声 220ヘルツ(※個人差はあります)
ピアノ  27.5〜4186ヘルツ
救急車  770と960ヘルツの繰り返し

ボーカリストにとってのピッチ

歌をうたう人の悩みの上位に必ず来るのは、ピッチの悪さではないでしょうか。
ピッチを決めるのは声帯です。正確なピッチを身につけるには、まず正しいピッチを脳が認識していること(=耳を良くする)、脳の指令によって声帯を正しくコントロールすることが必要になります。

皆さんがよく聴くCDは、サンプリング周波数44.1kHzという規格で録音されています。詳しい説明は省きますが、CDプレイヤーで再生できる周波数はサンプリング周波数の半分(1/2)と言われているので、CDは44.1kHzの半分、22.05kHzまで再生することができることになります。
人間の耳に聞こえるのは20kヘルツまでですから、CDの規格は聞こえる音のすべてを表現できるという理屈になります。
でも実際には、人間は、20kHz以上の周波数も体で感じていますので、やはりライブで聴くのが一番ということになりますね。
「昔のアナログレコードのほうが音が良い!」という人がいますが、22.05kHz以上の音が完全にカットされているCDよりも、アナログは理論上カットされていませんから、ノイズの少ない高級オーディオ機器であれば、アナログの方が音が良いというのもうなずけます。
また人間が聞くことのできる周波数をはるかに超えたSACD(スーパーオーディオCD)では、よりリアルな音が聴くことができます。

2.音の大きさ(音量)

音の大きさ(=音量)は空気の揺れの大きさによって決まります。
揺れ幅が大きいほど大音量になり、小さければ音量も小さくなるのです。        



音の大きさは「デシベル(dB)」などの単位が使われます。
例えば、呼吸音=10dB、日常会話=60dB、自動車のクラクション=110dB のように使います。 

3.音色

音には色々な種類があります。
声、ピアノ、ギター、バイオリン・・・。それぞれ個性的な「音(=サウンド)」をもっています。 同じ声でも、太い声、細い声、豊かな声、枯れた声・・・色々あると思います。

これらの音色は、「倍音(ばいおん)」によって決まります。

一体倍音とは何でしょうか?まず下の譜面を見てください。



例えば、譜面でAの音(2オクターブ下の低いド)を弾いたとします。
(※この場合のAは音名「ラ」のことではありません)

2オクターブ下のドの音はもちろん鳴るのですが、もし実際にAの音だけしか鳴っていないとしたら、「ポー」というような味気ない音になってしまいます。

でもピアノで弾いたとしたら、「ポーン」という気持ちのいい音が鳴りますよね?

Aの音をピアノで弾いたら、実際には譜面にあるようにたくさんの音(B〜L)が同時になって混ざり合っているんです。

Aの音を基音といいます。そして黄色い部分の音(B〜L)のことを倍音といいます。このB〜の名前は第2次倍音・第3次倍音・第4次倍音・・・と数えていきます。

基音の2倍の振動数をもっているのが「第2倍音」、気音の3倍の振動数を持っているのが「第3倍音」・・・というように、それぞれの数字は基音に対して振動数が何倍になっているか、によって名前が付けられています。

例えば、基音が64ヘルツの音だとすると、第2次倍音は2倍の128ヘルツ。第3次倍音は3倍の192ヘルツ・・・というように、倍の周波数の音が鳴っているわけです。

ピアノをペダルを踏まずに思いっきり強く叩いてみよう。しばらく待っていると、いくつかの高い音が聞こえてくるはずです。お近くにピアノがあったらぜひ試してみて下さい。(ピアノ以外の楽器でももちろんOKです)

声質(楽器の音色)は、これらの倍音成分の音量バランスによって決まってくるのです。

倍音はどんな声でもどんな楽器でも同じ音が鳴っています。
それぞれの倍音の音量のバランスは楽器によって異なります。この音量バランスの違いがさまざまな楽器の音色を作り、私たちの耳に届くのです。

この音は第2次倍音が大きく、第3次倍音が小さい。この音は第2次倍音が小さく、第3次倍音が大きいといったイメージですね。高い倍音が大きいほど「抜けのよい音」になりますし、低い倍音が大きいとこもった音になります。

よく「いい声」とか「いい音」などと表現されますが、これは倍音成分がバランスよく鳴っている音をいう場合が多いです。倍音成分がたくさんなっていると、より響きのいい豊かな音になるのですね。

CDやコンサートで聴くプロの人の声や楽器の音は、私たちの出す音とは何か違いますよね。太くてつややかで豊かなプロの歌声は、体がよく響いて、倍音がよく鳴っているからなのです。楽器も同じで、よく響く楽器をよく響かせる演奏法で弾いてるから、あんなにいい音になるのですね。

良い声、太い声を作りたい方は、共鳴法をマスターすると、体を効率よく響かせることができるようになります。


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