トライアドについては理解できましたか?
コードを覚えて、考えたメロディーにコードを付けられるようになると曲作りはグンと身近になります。
でも覚えたコードを「好き勝手に」並べても気持ちいい音楽にはなりません。
コードというのは、それぞれ決まった役割を持っています。その役割にしたがって曲の中で使わないといけないのです。
コードの役割ってどういうことでしょう。
曲には、「コード進行」があります。曲の進行にしたがってコードが次々に変わることで、サウンドに変化を与え、音楽が成り立っているのです。
中には、ファンクなどのジャンルの曲で、コード進行が全く変わらないという音楽もありますが、たいていの曲はコードがどんどん変化していきます。
でも適当にコードを変化させても、きれいなコード進行にはなりません。
この部分は落ち着く感じにしようとか、ここは不安定な感じにしようとか、上手に組み合わせることで、音楽的な流れになるのです。
このコードを使うと落ち着くとか、緊張感が出るとか、コードには性格があります。コードの役割というのは、「この種類のコードを使うとこんな雰囲気になりますよ」という性格のことなのです。
音楽理論では、「機能」とか「ファンクション」という言い方をします。
では、それぞれのコードはどのような機能を持っているのでしょうか?
コードの役割は、大きく分けて3種類しかありません。
スケールのところで勉強した「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」というのを覚えていますか?実はあれは、音の役割を表していて、コードでもそのまま使われます。
ではそれぞれの役割をご説明しましょう!
名前 |
性質 |
度数 |
---|---|---|
トニック(T) |
完全な安定性を持つコード |
T(Y) |
サブドミナント(S) |
あまり強い性格ではなく、Dへの足掛け的なコード |
W(II) |
ドミナント(D) |
トニックに進もうとする、強い緊張感をもつコード |
X(V.Z) |
性質の説明がちょっとわかりにくいかもしれませんが、実際に音を聴いてみると理解しやすいと思います。楽器があったら弾いてみてください。どんな感じを受けますか?
例えば、サブドミナントやドミナントからトニックに戻ると落ち着いたって感じがしませんか?
コード進行の例
| F | G | F | G | C
このコード進行では、F(サブドミナント)やG(ドミナント)と変化を繰り返した後、C(トニック)に進みます。C(トニック)の時に、曲が落ち着いた、終わったという感じに聞こえませんか?逆にFやGのときは、まだ次に進みそうな気配がすると思います。
それぞれの性質を感覚で理解するのは、最初は大変かもしれませんが、音楽をそういうふうに聴く習慣をつければだんだん分かってくると思います。
CD聴くときも、よくコードを聴いて、「ここは落ち着く感じだからトニックだな」とか、「ここはドミナントだな」という風に聴くようにしてみると、耳が良くなりますし、音楽を楽しむ幅も広がるでしょう。
音楽ではすべてのコードが必ずこの3種類のどれかに分けられるのです。
つまり、ダイアトニックコードの「I、IV、V」が基準になっているということです。
ブルースって音楽を知っていますか?ブルースは基本的に3コード(スリーコード)で出来ているのですが、それはこの「I、IV、V」なのです。ブルースは黒人のすごくシンプルな音楽だから、構造もシンプルなんですね。ロックやポップスも元を辿ればブルースに行き着きますから、この3コードはポップスの基本だとも言えます。
しかし、I、IV、Vの3つのコードしか使えないと、単純なコード進行の音楽しか作れません。
上の表をもう一度見て下さい。度数の中に()カッコがありますね。
このカッコの中の数字はそれぞれ、メインのI、IV、Vの代わりに使えるものです。
機能は同じだけどちょっと違う雰囲気にしたいときには、この代わりコードを使えばいいのです。
(例)
スリーコードだけのコード進行の例
C | F | G | C | F | G | C
代わりのコードを使った例
Am | Dm | G | C | F | E | Am
上の2つのコード進行は、骨組みとなる機能の変化は同じですが、代わりのコードに置き換えることで、雰囲気がかなり変わっています。
例えば、鼻歌で作ったメロディーにコードをつけるとき、基本となスリーコードで骨組みを作り、後で雰囲気を変えるために同じファンクションでコードを変えてあげると、流れのスムーズな進行になります。
ちなみに、代わりのコードのことを、音楽理論では「代理コード」と言います。
コードは3度ずつ積み重ねるといいましたが、実は特別な例もあります。
次の譜例のコードをみてください。
このコードはメジャートライアドでもないし、かといってマイナーでもありませんね。3rdの音が今までと違う音になっていて、串状になっていません。。
このコードはサスフォー(sus4)コードといいます。
メジャートライアドの3rdの代わりに、ルートから完全4度上の音が入っています。このsusというのは「Suspended」の略です。これの意味は「掛留」という意味で、後に続くコードにきれいに落ち着く(解決するといいます)するときに重要になります。
このようにCsus4の「ファ」の音にはCの長3度の音「ミ」に引き継がれる役割があります。
そして、コードは並べかえる(転回させる)ことも出来ます。同じ組み合わせのコードでも、転回させると、また違った雰囲気のコードに変身します。
転回させるとは具体的にどのような状態になるのでしょうか?
下の譜例をみてください。Cのコードを使って転回させてみましょう。
転回させるとは@の基本形の形を同じ「ド・ミ・ソ」を使いながら、上の譜例のように形を変えていくことです。
これら@ABはそれぞれ形は違いますが、全てコードは「C」と表します。
同じ音でできている1つの同じコードでも、形を変えると響きが少し変わります。でも、響きが変わるといえども同じ音で出来ているものなので、当然似た響きがします。
実際メロディにコードをつけるときも、必ず基本形ばかりを使うわけじゃなくて、いろんな転回を混ぜて使うことのほうが多いですね。