必勝オーディション!ディレクターの耳にひっかかるデモテープの作り方


その2 ディレクターの仕事

勝負に勝つためには、まず敵を知らなければなりません。まずはデモ音源を聴いてくれるディレクター(D)とはどんな仕事をしているのか、大雑把に説明します。

大手のレコード会社ですと、新人発掘を専門にしているDと実際のCDの制作を担当しているDの2種類のDがいます。新人発掘Dは新人を見つけてきてプロレベルまで育成するのが仕事です。 まだどこの手もついてない原石を誰よりも早く見つけてくるこなければなりません。

ですから、現時点の完成度よりも、何か光る部分がないか、という聴き方をします。よって、わりと合格ラインを低くして聴いてくれます。見つけたアーティストは、ライブをやらせたり、デモ音源をレコーディングしたりして、プロレベルまで育成します。実力がつけば、制作Dに向けてプレゼン(紹介)をします。プレゼンで制作Dの目に留まると、いよいよデビューのための準備がはじまります。

注意しなければいけないのは、新人発掘Dにはデビューをさせる権限はありません(※1)。とにかくいい素材をたくさん見つけてきてレベルアップさせることが仕事です。よく大手レコード会社の新人発掘のオーディションに通って、さもデビューが約束されたかのような勘違いをするアマチュアがいますが、こういった理由から、その後の競争は相当きびしいですから覚悟しましょう。

(※1)制作Dもデビューの決定権を持っているわけではありません。デビューさせたいアーティストがいたら、まず企画書を書き、このくらいお金をかけてこのくらいの売上を上げますので予算を下さい、と社内会議でプレゼンします。これが通れば、本当の意味でのデビューに向けての作業に取り掛かります。
これに対し、CD制作担当のDは即戦力になるアーティストを探しています。もちろん自分で発掘して面倒をみるDもいますが、まったくのゼロから育てるわけにはなかなかいきません。

CDを作らなくてはいけないという大事な仕事があるからです。CDを1枚作るには、企画を立て、予算をとり、スケジュールを立て、スタッフやミュージシャンを募り、曲を探し、レコーディングをし、ジャケットやプレスを発注し、中には宣伝やCDショップの販促のプランを立てたりと、仕事が山のようにあります。

ですから当然デモ音源の聴き方も、1本1本丁寧にというわけにはいかず、曲の頭を聴いて、何かがひっかからなければ、はい次!となるわけです。もちろんすべてのDがそうとは限りませんが、合格ラインは相当高いと思ってください。ですが、制作Dの耳にひっかかれば、デビューへの道は近いともいえるかもしれません。

中小規模のレコード会社ですと、上記のように仕事が分かれておらず、一人のDが新人発掘〜育成〜デビューまで面倒をみることが多いです。Dは新人発掘Dの耳と制作Dの両方の耳でデモ音源を聴くわけです。

それから、小規模の会社だと、大手に比べてデビューやヒットに不利かというと一概にそうともいえません。鶏口牛後ということわざがありますが、大手でその他大勢になるよりも、中小でイチオシになったほうが、成功が近いという考え方もあります。

この辺は、アーティストの考え方や方向性によります。50万枚売って一発屋ですぐに消えてしまうか、5万枚を10年続けるのか、どちらが正しいとはいえません。

さて、Dの仕事について大まかに分かっていただけましたか?そうです。Dの仕事は大変な激務なのです。その合間にみなさんから送られてきたデモ音源を聴くわけですから、Dの立場になってデモ音源を作る必要があるわけです。

ですが、いい新人を常に探さなければ生き残っていけないというのもDの宿命ですから、臆せず堂々と聴いてもらいましょう。

その3〜こんなデモ音源がひっかかる"10か条" へ  


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