最初に申しましたように、ボイストレーニングは「良い声を作る」ためのトレーニングです。
では、良い声とはどんな声なのでしょうか?
結論から言ってしまえば、声に良いも悪いもありません。
音楽自体が、ある人にとって良い音楽でも、別のある人にとっては騒音でしかない、
ということがあるわけですから、絶対的に良い声というものも存在しません。
しかし、プロの世界では違います。
プロは商売(ビジネス)ですから、できるだけたくさんの人に感動してもらえるような声を出す必要があります。(プロを目指していなくても、プロのように歌いたい、上手になりたい場合には同じことが言えます)
人は何に感動するのでしょうか。
芸術であれ、スポーツであれ、普通の人にはとても不可能と思えるような表現・技術に、人は感動を覚えます。
声も同じです。
こんなすごい声は聴いたことがない!
こんな声はとても自分には出せない!
そんな声に人は感動をするのではないでしょうか。
生まれつきそのような声を持っている人(=ごく一部の天才)も中にはいます。
が、多くのプロは、血のにじむような訓練によって、その素晴らしい声を手に入れているのです。
繰り返しますが、ボーカリストは体が楽器です。
バイオリンやギターなど、良い楽器は優れた楽器職人が丹精込めて作ります。素材となる木材選びから徹底して行います。
声という楽器は、ボーカリスト自らが優れた楽器職人にならなくてはなりません。
丹精こめて自分の体を「音の良い楽器」に磨いていく必要があるのです。
体を「音の良い楽器」にするためには、正しい筋肉の動きが必要です。
これは、スポーツと同じです。
どんなに優れた一流スポーツ選手であっても、生まれつき神業のようなプレーが可能だったわけではありません。 正しい訓練の結果なのです。
歌に必要な
正しい筋肉の動きを体に覚え込ませるには、継続した正しいボイストレーニングをするしかありません。
何もせずに朝起きたら急に上達しているということは決してないわけです。
では最後に歌を上手くうたうということについてお話いたします。